スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

  • 2015.09.30 Wednesday
  • -
  • -
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

【その7】第一部 作村裕介木版画展「生活」トークショー 



平間:質問があるようです。

会場:何年か前までずっとやっていた、現場で対象を目の前にしてすごい稠密にスケッチするっていう方向から、家に持って帰って版画にするっていうふうになったのはどうして?


作村:あ、それはさっきも言ったかもしれないんだけど。パッと捉えた風景の印象を作品化したいと思い始めてきて。八百屋とかでスケッチを始めたら三、四時間とかずっとするから、色んな情報が入ってきて。それを画面に入れてしまうから、自分の一番ここを見せたいというところが、細密にすることによって離れていく感じがして。だから自分が本当に一番描きたい所をラフでスケッチをして、家に持ち帰ってその印象を立ち上げたほうが、自分にとって伝えたいイメージが残る。


齋藤:ろ過されるみたいな。


作村:そうそう。現場で長時間おることによって情報が入りすぎて。自分の本当の描きたいこと以外も入ってきて、それが邪魔になってきているから木版画に切り替えたっつーのがあります。


齋藤:そろそろ質疑タイムに入りますか?


会場(高橋辰夫):作村さんの年齢や、おそらくは中流なんじゃないかなと思われる生活感から考えると、作品における労働者や、喪われつつある「昭和」への眼差しが少し不思議な気がするんです。もしかしたら、今の等身大の目線や衝動ではなく、ある種のシミュレーションみたいなものかなと思うんですがどうでしょう?


作村:シミュレーションっていうのは?


会場(高橋辰夫):そうですね、言い換えると、作村さんの経験ももちろんあるとは思うんだけど、それ以上に、脳内で思っているだろう、本来あるべき「昭和」の幻影を、作品を通じて幻視しているような感覚を受けるということですかね。


平間:そうですね(笑)。


会場:それはエキゾチシズムじゃないかって話があったよね。


会場(高橋辰夫):そういう話があるんだ。


齋藤:要するに、自分の生活とはちょっとかけ離れたところにある生活っていうものに、何かしら憧れっていうか興味がある。


作村:それはすごいあります。すごいある。


齋藤:あ、やっぱりあるんだ。


作村:それは自分自身がそうだからとか、元々そういうわけじゃないから。自分が育ってきた環境とかをすごい感じてて。感じたのは、商店街の風景つーのが小学校から中学校くらいまでにすごい変わったんですよ。それは具体的に言うと小泉総理が出てきたときに変わったと思ってる。今から言えば。じいちゃんばあちゃんが床屋をやっていて、その商店街の人たちが地域社会を作ってきたんだけど、それがコンビニとか大型ショッピングセンターできたときに風景がガラッと変わった。俺が駄菓子屋に行っとったときの後輩が、コンビニで駄菓子を買い始めたような感じになっていって。それがすごい自分の中にあって。そういうものに憧れるっつーか。なくなっていくものに対しての憧れもあるし。子供のときに床屋で待ってたり、そういう所でお客さんとかがいてしゃべっている風景とかも離れていくというか。そういうものに対してのものもあって。それを自分の中で追いかけているっていうところもある。俺はそれを大切なことだと思うから。俺はグッときているから描いていると言っているかもしれないけど、ちょっと使命感的な所で描いて展示をしているっていうのもなくもない。


齋藤:俺はそういうところで松本竣介に近い目線を感じるんですね。


平間:でも作村が追いかけているっていうのは普通の意味とはちょっと違っていて、多分Taxxaka(高橋辰夫)さんからしたら追いかけ過ぎているということだと思う。いわゆる今の二十代の人間が追いかけている以上に追いかけているんじゃないかと思っているんだよ。いきなり昭和に入っているみたいな(笑)。追いかけている地元の商店街の風景がいきなり地元を超えて、もうちょっと一段階古いところに行っているんだよね。というのは僕も思いますけどね。そこがシミュレーションっぽい。


齋藤:象徴化された昭和よりもさらに古い段階に。


会場(高橋辰夫):《中野の酒場》は実際にああいうバーなのかもしれないんだけど、あれを見ると1930年代のバーかと思っちゃう(笑)。


会場:(笑)。


平間:作村裕介(108)みたいな(笑)。もう死んでいるんじゃないかみたいなのがある。


会場(高橋辰夫):この展示、相当前の巨匠の回顧展みたいな。


会場:(笑)。


会場(高橋辰夫):わかるけどすごい不思議なんです。


平間:そうなんですよ。わかる気もするけど、それちょっと行き過ぎなんじゃないのっていうのはあるよ。多分誰にもあると思うな。


齋藤:これが平成20年代のものを見て描いているっていうことが、結構捻くれた感じで魅力になっているんじゃないかな。


会場(高橋辰夫):《御徒町のガード下》にしたって、3000年の絵ですって言われても、もしかしたら通用するかもしれない。


平間:SFチックな。


作村:いやもちろん、平成生まれのアーティスト的な感じの感覚にものすごい憧れるっっていうところはあって。齋藤さんがやっていた「間欠泉」(※16)とかで活躍されている作家とかと俺は全然違うタイプの絵で。最近の人間なのにって。こうやってみんな現在の絵を描いてるのに、俺はこういうのを描いていて大丈夫なのかなって思う。


会場:(笑)。




「間欠泉」(※16)

→ ※16 「間欠泉」

齋藤祐平が企画するライブペイントイベント/展覧会。多数ゲストを呼ぶときもあれば企画者の齋藤1人でやってみたり、イベントスペース的な場所以外にも公園や民家でやったりと、場所や形態を変えつつ開催。

http://blog.goo.ne.jp/hintandgesture/e/d3121473916a630b70e4f94be6879cb8





平間:そうだよね。


作村:「間欠泉」とかでやっとる人たちを見て俺は全然かけ離れたことをやっとって、すごい置いてかれとるというか。きゃりーぱみゅぱみゅとか本当にもうすげーなって思うんですね。感覚として全然無い感覚だから。


会場(高橋辰夫):僕から見るときゃりーぱみゅぱみゅと作村くんはそんなに遠くないんですよ。


平間:シミュレーションっていうことでいうと。なんていうか、方向は違うけど。


会場(高橋辰夫):方向は違う。


齋藤:そう考えるとすごい作村作品の間口が広がるよね。


会場(高橋辰夫):わざわざテレクラの看板を描く感覚が新しい。


平間:しかも木版画でっていう。でもグッとくるっていう視点で本人の中では完全に同じものとして繋がっているんだよね。


作村:そうそうそう。


平間:でもそれが狂っているって言っているところ(笑)。でもそれでいいと思う。


会場:すいません。普通版画って刷った内の何枚って書いてあるんだけど、これは?


作村:この《釜ヶ崎のクマさん》はA.P.で、自分の持っている作品で。他は1/5って書いてます。1/5って書いてある作品以外は、自分の作品も飾ってあとは刷って売りますっていう。限定5枚だけだけど。


会場:でも版画ってある程度刷った方が良くない?版が慣れてきて。


作村:そういうの知らないから。そういう質問は困ります。


会場:(笑)。


平間:でも作村自身は刷るのはもちろんだけど、彫る方がなんかグッときている感はあると思った。


作村:あーそうだね。


平間:三角刀しか使っていないとか彫るところの話は結構出ているから。やっぱり彫っているときの木を削っている感が好きなんじゃないかな。


作村:そうだね。うん。


会場(高橋辰夫):現場で彫るっていうのはおもしろそうですけどね。


作村:あーそれはあるかもしれないですね。


平間:あるかもしれないんだ(笑)。これまで素材を変えてきたように、ここから変わるっていうことはありうるからね。


作村:っていうか俺本当に今思ったんだけど、質問されたら困りますね。


会場:(笑)。


作村:シミュレーションという言葉とか言われても俺そんなこと考えてないっつーか、これが好きでやっているから。仕事場で昭和歌謡とかを車の中で流したりして「なんで好きなの?」って言われたら、めんどうくさいから「昭和が好きなんですよ」って言っとるけど。単純にそれもあって。


会場(高橋辰夫):社会は今、ショッピングモールが増えて既成の商店街がどんどん畳んでいくし、老人がどんどん増えて超高齢化になってきてる。それは寂しいっていう感覚は僕にもあるんだけど、それはどうしようもないじゃないですか。そういうことについてどう思いますか?


作村:いやですね。そういう感覚は多分誰よりも強いって思っています。


齋藤:誰よりも強い。


作村:なるべくならそういう小売店とか商店街とか床屋とかに、お金を落としたいなっていうのはやっぱりあるし。多分みんなそう思っとるんじゃないかなって。


会場(高橋辰夫):でもじじばばになってしまうと、やはりウォシュレットがないと嫌だなあとか、最近はそれもわかる歳になってきたんですよね


作村:そういう便利なものとの矛盾との戦いはありますよね。だって俺昭和の最後の生まれの方だから、テレビもあるしポットもあるし。昭和30年に生まれた人間じゃないから、やっぱりそういう昔がいいからって電子ジャーを使わんで、全部かまどで米を炊いたりとかそういうことはしないですけど。


会場(高橋辰夫):そうですね。そこはどっちを取るかではなくて、どっちも正しいですよね。


齋藤:そうそう。


会場(高橋辰夫):作村さんの絵には、そうしたジレンマを伴って、見ている人に迫るところがあって、そこは凄いなと。


齋藤:あー、そこはすごいいいですよね。


平間:それは今回の素材の木版画とかね、そういうところからも出てくるんだと思うな。


齋藤:確かにそういうことに対して自分がどう態度でいるのかっていうのが、作村の絵を見て感じさせられるところはあるかもしれないですね。


平間:というぐらいで今晩は。


齋藤:質問はちょっとやめるか。


平間:そうだね。段々ピンチになってくるからね(笑)。


作村:俺考えていることがブログで言っていることと一緒だから、それ以外はないんですよ。こういう大事なものがあって、俺はそういう人間の野性的な部分を見たいっていう、それだけで。世の中のそういう広がりとか、それとは関係ないです。


平間:そうだね。昭和の最後の方生まれで、地方出身者で現在東京在住で、そしてかなりモーレツな気概を持っている人間が、今は木版画をやっている。多分それ以外は何もないんじゃない。


作村:そうですね(笑)。そうかもしれない。


平間:(笑)。


作村:ではこんなところで。


平間:じゃあ個展初日の挨拶を最後に。


作村:今日は来ていただいて、どうもありがとうございます。僕はこうやって自分の作品について話すのは一人では難しくて。


平間:ちょっとね苦手だということで。


齋藤:(笑)。


平間:それで平間と齋藤を呼んだいうことで。


齋藤:お前が全部言ってるじゃん。


平間:(笑)。


作村:平間さんと齋藤さんがこういう奥行きのある話をしてくれて。俺は本当に、


平間:表面的な(笑)。


作村:表面的なことしか、薄っぺらいことしか言えないですけど(笑)。だからそういうことです。今の話はすごい良かったんですけど、一番大切なのは、もう本当に二人には申し訳ないんですけど、そういうこと抜きにして作品を見て欲しいということです。


会場:(笑)。


作村:だから今の話を置いといて作品を見て、それであんなこと言っとったなぁみたいなことを思い出していただければ。


平間:だから作村の展示の場合、作村の絵が僕らが後からつけた話の挿絵になるわけじゃなくて、絵の方が中心になっているわけだから、そうやって見てねってことだね。


作村:そうそう。そうです。いやでもありがたいですね。


平間:感謝ということでおしまいでよろしいでしょうか?(笑)。


作村:うん。だからみんながどういうふうに見たのかなっていうのはすごい気になる。自分が床屋とかそういうものが好きで、そういうものに憧れて描いとるっていうのを、勘違いしてもいいけど、みんながどう見てくれたんかなっていうのはすごいある。今日はどうもありがとうございました。


会場:パチパチパチパチパチパチパチ



【終了】





出演者プロフィール


齋藤祐平 

1982年新潟県生まれ。
主に平面作品を感覚的に制作。
制作した絵画がどのように発表されうるか・鑑賞者の頭の中でイメージがどのように流通しうるかについても留意し、作品を通して様々な活動を行う。
…フリーペーパーの制作、ゴミ捨て場での展示、路上での自作印刷物交換会「Paper Talk」開催、自作の絵を使用したライブパフォーマンス、商店街の空き物件や引越し前/後の空き部屋を使用したギャラリー「場所と出来事」運営、CDジャケットやイベントフライヤーの制作、郵便物リレー転送イベント「COMPO」開催、ライブペイントイベント/展覧会「間欠泉」開催など。
平間貴大・アサとの「Night TV」、淺井裕介との「聞き耳」、郡司侑祐・およ・アサとの「OPAOPA」(現在は脱退)のメンバーとしても活動。

作品画像や展示風景写真などをまとめたホームページ「羅布泊」http://lopnor.archive661.com/index.html





平間貴大 
新・方法主義者。1983年生まれ。2010年8月、個展「第1回平間貴大初レトロスペクティブ大回顧展」、「『反即興演奏としてのマラン・メルセンヌ+ジャン=ジャック・ルソー』 『10年遅れた方法音楽としてのマラン・メルセンヌ+ジャン=ジャック・ルソー』同時開催展」、「『最高写真展』『世界最高写真展』同時開催展」。2010年9月、新・方法主義宣言。2011年8月、個展「無作品作品展」。9月、新・方法主義第二宣言。2012年9月、新・方法主義第三宣言、同月、「≪削除済み≫≪無作品作品≫≪つくるな≫3個展同時開催展」。




スポンサーサイト

  • 2015.09.30 Wednesday
  • -
  • 11:06
  • -
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

PR

calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< November 2017 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

recommend

生活
生活 (JUGEMレビュー »)
エレファントカシマシ

recommend

recommend

recommend

太陽
太陽 (JUGEMレビュー »)
中村一義,曽我部恵一,桑野聖ストリングス,沖山優司,KYON,高野寛,仲井戸“CHABO”麗市,加藤ジョー・ストリングス,名越由貴夫,細海魚,伊藤直樹

recommend

recommend

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM